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S&P500の最新動向:Nvidia決算どうなった

S&P500の動向が世界中の投資家の注目を集める中、2025年5月28日はAI時代の象徴的存在であるNvidia(エヌビディア)の決算発表が市場の行方を大きく左右する日となりました。米国債の長期金利上昇や地政学的リスクが重しとなってきた相場の中で、Nvidiaの発表内容はS&P500全体のセンチメントを大きく動かすカギ。AI関連株の雄が描く未来と、それに連動する市場の今を徹底解説します。

5月27日の急反発:関税延期が市場センチメントを一変

S&P500は5月27日、前日比2.05%の大幅上昇となり5,921.54で取引を終了しました。この急激な反発は、トランプ大統領が欧州連合(EU)に対する新たな関税導入を延期すると発表したことが主要因となっています

市場参加者にとって、この関税延期の発表は大きな安堵材料となりました。前週まで続いていた関税への懸念が一時的に和らぎ、リスクオンの投資姿勢が復活したのです。同日、ダウ平均も1.8%上昇し、ナスダックは2.5%の大幅な伸びを記録するなど、主要指数全体で買い戻しの動きが広がりました

特に注目すべきは、AI関連銘柄の復調です。Nvidiaをはじめとするテクノロジー株が軒並み上昇し、市場全体の上昇を牽引する構図となりました。これは翌日に控えるNvidiaの決算発表への期待も反映していると考えられます。

2025年の激動相場を振り返る:4月の大暴落から回復への軌跡

4月の歴史的な暴落とその背景

2025年の株式市場は、4月2日を境に劇的な展開を見せました。トランプ大統領が「解放の日」と称して包括的な関税政策を発表したことで、グローバル株式市場は大混乱に陥りました

この「2025年株式市場クラッシュ」では、わずか2日間でダウ平均が4,000ポイント以上下落し、S&P500は10%、ナスダックは11%の急落を記録しました。市場から失われた時価総額は6.6兆ドルに達し、これは史上最大級の2日間損失となりました

段階的な回復プロセス

しかし、4月9日にトランプ政権が関税政策の90日間凍結を発表すると、市場は歴史的な反発を見せました。その後、段階的な政策見直しと初期貿易協定の締結により、S&P500は5月13日についに年初来プラス圏に回復したのです

この回復過程で重要だったのは、投資家心理の改善と企業業績の底堅さでした。第1四半期決算では、S&P500構成企業の78%が1株当たり利益(EPS)予想を上回る結果を発表し、市場の信頼回復に大きく貢献しました

注目の決算シーズン:Nvidia決算が描く今後のシナリオ

市場の焦点はAI銘柄の業績

5月28日の市場では、Nvidia(NVDA)の決算発表が最大の注目イベントとなっています。AI関連の需要拡大により、Nvidiaの業績は市場全体の方向性を左右する重要な指標となっているためです。

投資家が特に注視しているのは、中国市場での制約がNvidiaの成長にどの程度影響を与えているかという点です。グラフィックプロセッサーへの強い需要は継続しているものの、地政学的な要因が今後の成長軌道にどのような変化をもたらすかが焦点となっています。

その他の重要決算と市場への影響

Nvidia以外にも、Macy's、Dick's Sporting Goods、Abercrombie & Fitchなどの小売業界の決算が予定されており、消費者支出の動向を占う重要な材料となります。また、連邦準備制度理事会(FRB)の5月会合議事録も同日公開予定で、金融政策の方向性についてのヒントが得られると期待されています

主要アナリストの見解:Goldman Sachsらが示す強気予測の根拠

Goldman Sachsの上方修正

Goldman Sachsは5月13日、S&P500の予測を大幅に上方修正しました。同社は、向こう3ヶ月で6,100ポイント、1年後には6,500ポイントに達するとの見通しを示しています。この修正の背景には、「関税率の低下、経済成長の改善、景気後退リスクの減少」があると説明されています

同社は2025年のS&P500構成企業のEPSを262ドル(前年比7%増)、2026年を280ドル(同7%増)と予測しており、これまでの3%、6%成長予想から大幅に引き上げています。

ウォール街コンセンサスの強気トーン

他の主要投資銀行も概ね強気な見通しを維持しています。Wells Fargo Securitiesは7,007ポイント、Ed YardeniとTom Leeは7,000ポイントをそれぞれターゲットとして設定しています。

これらの強気予測の根拠として挙げられているのは:

  • 企業業績の二桁成長予想
  • 規制緩和への期待
  • 低い税率環境の継続
  • AI技術による生産性向上の可能性

今後注意すべきリスク要因と投資戦略

短期的なリスク要因

市場の楽観的な見通しにもかかわらず、いくつかの懸念材料が存在します。まず、長期金利の上昇圧力です。米国債20年物の入札が不調に終わったことや、Moody'sによる米国債格下げなどにより、長期金利は上昇傾向にあります

また、S&P500の予想株価収益率(PER)は21.5倍まで上昇しており、過去5年平均を上回る水準となっています。この高いバリュエーションは、市場の調整リスクを示唆しています。

中長期的な投資戦略

こうした環境下で投資家が取るべき戦略として、専門家は以下の点を挙げています:

  • テクニカル分析の重視:S&P500が200日移動平均線(5,773-5,766)付近でサポートを確認できるかが重要
  • セクターローテーションへの対応:関税政策の変更により、セクター間の資金移動が活発化する可能性
  • 決算内容の精査:高いバリュエーション下では、個別企業の業績がより重要な判断材料となる

現在の市場環境は、短期的な政策変更に敏感に反応する一方で、中長期的には企業の本質的な成長力が問われる局面にあります。投資家には、市場のボラティリティを受け入れながらも、ファンダメンタルズに基づいた冷静な判断が求められているといえるでしょう。

Nvidiaの最新決算結果

Nvidia(NASDAQ: NVDA)は2025年5月28日(現地時間)の取引終了後、2026会計年度第1四半期(2025年4月27日終了)の決算を発表しました

売上高と成長率

Nvidiaの第1四半期売上高は441億ドルを記録し、前四半期比12%増、前年同期比69%増という力強い成長を示しました。この数字はアナリスト予想の433億ドルを上回る結果となっています。

収益性への大きな影響

しかし、収益面では重大な影響が生じました。4月9日に米国政府がH20製品の中国向け輸出にライセンスが必要と通知したことを受け、Nvidiaは第1四半期に45億ドルの特別損失を計上しました。これはH20の過剰在庫と購入義務に関連する損失です。

主要財務指標

  • GAAP希薄化1株当たり利益: 0.76ドル
  • 非GAAP希薄化1株当たり利益: 0.81ドル
  • GAAP粗利益率: 60.5%
  • 非GAAP粗利益率: 61.0%(45億ドル損失除く場合は71.3%)

特別損失を除いた場合の非GAAP希薄化1株当たり利益は0.96ドルとなり、より本来の業績を反映した数字となっています

中国市場への影響

H20製品の第1四半期売上は46億ドルでしたが、新たな輸出ライセンス要件により、追加で25億ドル相当の売上を出荷できませんでした。これは同社の中国事業に大きな制約となっています。

S&P500への影響

市場での重要性

NvidiaはS&P500で約5.5%、ナスダック100で約6.5%という大きなウェイトを占めており、その決算結果は市場全体の方向性に決定的な影響を与えます。時価総額3兆ドルを超える規模により、Apple以外では最もS&P500に影響力を持つ銘柄となっています

決算発表前後の市場動向

決算発表前日の5月27日、米国株式市場は関税緩和期待により大幅上昇しましたが、5月28日の決算発表当日は先物市場で軟調な展開となりました。ダウ先物は0.24%安、S&P500先物は0.2%安で推移し、投資家が決算結果を慎重に見守る姿勢を示しました。

AI関連株全体への波及効果

決算発表前の段階で、AI関連株は既に不安定な状況にありました。Palantir、Vistra、Applovinなどの人気AI銘柄は過去1週間で20%以上下落しており、Nvidiaの決算結果がAI投資テーマ全体の今後を左右する重要な指標となっています。

今後の市場への示唆

中国向け輸出制限による45億ドルの損失は一時的な要因とはいえ、地政学的リスクがテクノロジー企業の業績に与える影響の大きさを改めて示しました。一方で、基調となるAI需要の強さは売上高の69%増という数字に表れており、長期的な成長トレンドは維持されていると評価できます。

Nvidiaの決算結果は、AI投資ブームの持続性と地政学的制約のバランスを測る重要なバロメーターとして、今後のS&P500の方向性を大きく左右する要因となっています。

S&P500動向総括:関税緩和期待とNvidia決算が描く市場の新局面

5月27日のS&P500は、トランプ政権のEU関税延期発表を受けて2.05%の大幅反発となり5,921.54で終了しました。4月の歴史的な株式市場クラッシュから段階的に回復してきた相場は、ここにきて新たな局面を迎えています。翌28日に発表されたNvidia決算では、売上高441億ドル(前年比69%増)という好調な成長を示した一方で、中国向け輸出制限により45億ドルの特別損失を計上し、地政学的リスクの影響を浮き彫りにしました。Goldman Sachsをはじめとする主要投資銀行は年末6,100-7,000ポイントの強気予測を維持していますが、長期金利の上昇やS&P500のPER21.5倍という高バリュエーションなど、注意すべきリスク要因も増加しています。AI投資テーマの持続性と関税政策の行方が、今後の市場動向を左右する二大要因として投資家の注目を集めており、短期的なボラティリティを受け入れながらもファンダメンタルズに基づいた冷静な投資判断が求められる環境が続いています。

S&P500の値動きは、世界経済の最新ニュースと密接に連動しています。投資家も一般読者も、経済指標と国際情勢をしっかり追い続けることが重要です。

本記事が皆さまの投資判断や経済理解の一助となれば幸いです。最新情報は引き続き当ブログで発信していきますので、ぜひブックマークを!

※本記事は情報提供を目的としており、投資の最終判断はご自身でお願いいたします。

  • この記事を書いた人

NISHIHIRO

こんにちは、NISHIHIROです。 現役金融営業マンです、S&P500関連を中心に最新情報をわかりやすく伝えます。はじめて投資する方の参考になればと思っています。FP2級、会員一種証券外務員資格所持

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