S&P500とは

ETF S&P500とeMAXIS Slimの違い

ETF S&P500とeMAXIS Slimは、どちらも米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動する投資商品ですが、その仕組みや特徴には重要な違いがあります。これらの違いを理解することで、自分の投資スタイルに最適な選択ができるようになります。

基本的な商品性質の違い

ETFの特徴

ETF(上場投資信託)は、証券取引所に上場している投資信託で、株式と同様にリアルタイムで売買できる金融商品です。S&P500 ETFの場合、米国市場ではSPY、VOO、IVVなどの銘柄があり、日本市場では1655(iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF)などが代表的です。

eMAXIS Slimの特徴

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託で、S&P500指数に連動する運用を目指しています。2018年7月3日に設定され、現在の純資産総額は約6兆8962億円と国内最大級の規模を誇ります

運用方式の根本的違い

最も重要な違いは運用方式にあります。eMAXIS Slimは直接米国株式に投資する一方、一部のS&P500関連ファンド(SBI・V・S&P500など)は海外ETFに投資することで間接的に米国株式に投資する仕組みを採用しています

コスト構造の比較

信託報酬の違い

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の信託報酬は年率0.08140%と、2025年1月25日に0.09372%から引き下げられました。一方、米国上場のS&P500 ETFは一般的により低いコストで運用されており、例えばVOOの経費率は0.03%程度です。

実質コストの考慮

投資信託では信託報酬以外にも隠れコストが発生します。eMAXIS Slimの実質コストは約0.10472%となっており、表面的な信託報酬だけでなく、売買委託手数料や監査費用なども含めた総コストを把握することが重要です。

長期投資におけるコスト影響

わずかなコスト差でも、20年、30年といった長期投資では大きな差となって現れます。年率0.05%のコスト差があった場合、30年間で約1.5%のリターン差が生じる可能性があります。

投資の利便性と柔軟性

購入・売却のタイミング

ETFは取引所の開場時間中であればリアルタイムで売買できるため、市場の動きに応じて機動的な取引が可能です。一方、投資信託は1日1回算出される基準価額での取引となり、注文した翌営業日の基準価額で約定します。

最低投資金額

eMAXIS Slimは100円から積立投資が可能で、初心者にとって非常に始めやすい設計となっています。ETFは1口単位での購入となるため、例えば米国のVOOであれば約500ドル程度の資金が必要です。

自動積立の対応

投資信託は金額指定での自動積立に対応しており、毎月一定額を継続的に投資できます。ETFは基本的に口数単位での購入となるため、完全に一定額での積立は困難ですが、一部の証券会社では米国ETFの定期買付サービスを提供しています。

税制と分配金の取り扱い

分配金の処理方法

eMAXIS Slimは分配金を自動的に再投資する仕組みを採用しており、複利効果を最大限に活用できます。ETFの場合、分配金は現金で支払われるため、再投資するには手動で買い付ける必要があります。

税制上の取り扱い

国内の投資信託とETFはどちらも同様の税制が適用されますが、米国ETFの場合は米国での源泉徴収税(10%)が発生し、その後日本での課税も行われる二重課税の問題があります。ただし、外国税額控除により一定の調整は可能です。

NISA制度の活用

eMAXIS Slimはつみたて投資枠と成長投資枠の両方で購入可能です。国内上場のS&P500 ETFもNISAで購入できますが、米国ETFは成長投資枠でのみ購入可能で、つみたて投資枠では利用できません。

どちらを選ぶべきか

初心者におすすめの選択

投資初心者や長期的な資産形成を目指す方には、eMAXIS Slimがおすすめです。100円から始められる手軽さ、自動積立機能、分配金の自動再投資など、継続的な投資に適した仕組みが整っています

経験者向けの選択肢

投資経験があり、より低コストでの運用を重視する方や、タイミングを見計らった売買を行いたい方には、ETFが適している場合があります。特に大きな資金での投資では、コスト差の絶対額が大きくなるため、ETFの優位性が高まります。

併用という選択肢

実際には、どちらか一方に絞る必要はありません。定期的な積立投資にはeMAXIS Slimを活用し、まとまった資金での投資にはETFを利用するといった使い分けも可能です。重要なのは、自分の投資目的と投資スタイルに合った商品を選択することです。

どちらの方が儲かる?ETF S&P500とeMAXIS Slimのリターン比較

結論:リターンに大きな差はない

ETF S&P500とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、どちらも「S&P500指数」に連動する商品です。そのため、運用成績(リターン)は基本的にほぼ同じになります。たとえば直近1年のリターンは、eMAXIS Slimが+30.47%、楽天・S&P500が+30.48%とほぼ差がありません

コスト面の違いが最終リターンを左右

ETFの方がコストがやや低い傾向があります。米国ETF(VOOやIVVなど)は経費率が0.03%程度と非常に低く、eMAXIS Slimの信託報酬は年率0.0814%(実質コストは0.10472%前後)です。この差は長期運用でじわじわ効いてきますが、実際にはごくわずかです。

購入・運用のしやすさも考慮

  • eMAXIS Slimは100円から積立でき、NISAにも対応、分配金は自動再投資
  • ETFはリアルタイム売買が可能で、為替手数料や売買手数料が発生する場合がある

長期的なリターン比較

  • eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の5年リターンは+177.80%(2025年5月時点)と非常に高い実績を持っています
  • ETFも同じS&P500指数に連動するため、為替やコスト差を除けばほぼ同じリターンが期待できます。

ETF S&P500とeMAXIS Slimの違いと選び方まとめ

ETF S&P500とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、どちらもアメリカの代表的な株価指数「S&P500」に連動する投資商品です。両者の大きな違いは、ETFは証券取引所で株式のようにリアルタイム売買できる上場投資信託であるのに対し、eMAXIS Slimは銀行や証券会社を通じて1日1回の基準価額で売買する投資信託である点です。

コスト面ではETF(特に米国上場のVOOやIVVなど)が年0.03%程度とさらに低コストですが、eMAXIS Slimも年0.0814%と十分に安価です。ETFは分配金が現金で支払われるため再投資は手動ですが、eMAXIS Slimは分配金を自動で再投資してくれるため複利効果を活かしやすいのが特徴です。また、eMAXIS Slimは100円から積立でき、NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)にも対応しているため、初心者や長期積立派に向いています。一方、ETFはリアルタイムで売買したい方や、まとまった資金でコストを徹底的に抑えたい方におすすめです。リターン自体はどちらもS&P500指数に連動するため大きな差はなく、自分の投資スタイルや使いやすさで選ぶのがポイントです。どちらを選んでも、米国経済の成長を効率的に取り込める優れた資産形成ツールと言えるでしょう。

S&P500の値動きは、世界経済の最新ニュースと密接に連動しています。投資家も一般読者も、経済指標と国際情勢をしっかり追い続けることが重要です。

本記事が皆さまの投資判断や経済理解の一助となれば幸いです。最新情報は引き続き当ブログで発信していきますので、ぜひブックマークを!

※本記事は情報提供を目的としており、投資の最終判断はご自身でお願いいたします。

  • この記事を書いた人

NISHIHIRO

こんにちは、NISHIHIROです。 現役金融営業マンです、S&P500関連を中心に最新情報をわかりやすく伝えます。はじめて投資する方の参考になればと思っています。FP2級、会員一種証券外務員資格所持

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